本を開く、梅の香(『大鏡』より)

昨日の歩数は9121歩でした。今日は日本古典文学大系21番の『大鏡』です。例によって一部しか読んでいませんが、たくさんの人の、面白いエピソードが短く載っています。菅原道真のエピソードです。政敵の陰謀により、流されることが決まった後の場面です。 こ…

セルフ流罪の記録

セルフ流罪の記録 昔の人の旅を体験するために三年くらい前に行った時の記録です。いつか授業の余談などで使う時のために挙げておきます。 京都→須磨 二〇一八年三月卒業式の日 従兄弟と 一日目十五時 スーツから着替えると突然従兄弟から電話がかかって来る…

為朝、転生。(『椿色弓張月 上』より)

昨日の歩数は20860歩でした。今日は日本古典文学大系60番の『椿色弓張月 上』です。江戸時代、滝沢馬琴の読み本です。コミックみたいな展開をしていました。主人公は平安時代の武士、源為朝です。為朝はまだ十五歳にも満たない時から弓の達人でした。ある日…

初心忘るべからず(『歌論集 能楽論集』より)

おとといの歩数は14565歩でした。今日は日本古典文学大系65番の『歌論集 能楽論集』から「花鏡」です。世阿弥が能楽の役者の心得などを書いた本です。 「初心忘るべからず」という言葉を誤解していたなあ、という場面がありました。「初心を忘れてはいけない…

しがみつく鴨がちらつく(『今昔物語集四』より)

昨日の歩数は10025歩でした。今日は日本古典文学大系25番の『今昔物語集四』です。誰が悪い?という話がありました。 京都に身分の低い侍が居ました。妻がお産をして、その産後の肥立ちをよくするための食べ物が欲しいと思いましたが、稼ぎが少なくて手に入…

古文の勉強について③

なぜ高校で古典を学ぶのかという問いに対しては、結局「読みたいと思ったときに古典が読めるようになるためにやっているんだよ」という答えになるのでは無いかと思います。もし古典が読めれば、日本語で書いてある本はすべて読むことが出来るということにな…

古文の勉強について②

私は何故だか分かりませんが、古典が好きです。例えば学校で買った『万葉集』を一冊開きます。そこには現代語訳も、一つの語釈も載っていません。そこに「この本にはこの字で書いてあるけど、別の本には違う字で書いてあるんだよ」という事を教えてくれる本…

古文の勉強について①

「古文は何のために学習するのか」と言われた時にどう答えたらいいのか考えてみたいと思います。 まず、「意味があるのか」と言われた場合は、その「意味」とは何なのでしょうか。数学を学べば例えばバイクのエンジンの設計ができるかもしれません。そのバイ…

重荷の中身は何だろう?(『謡曲集上』より)

昨日の歩数は15840歩でした。今日は日本古典文学大系40番の『謡曲集上』から「恋重荷」です。 賤しい身分の老人が、高貴な身分の若い女の人に恋をしてしまいます。女の人は、庭先にある「荷」を老人に持ち上げるように言います。それを持って庭を何度も回っ…

上品に争いたい(『謡曲集下』より)

昨日の歩数は14941歩でした。今日は日本古典文学大系41番『謡曲集下』から「雨月」です。西行が住吉に行き宿を求めていると、何やら老人夫婦が言い争いをしているようで…。一体何を言い争っているのでしょうか。 登場人物:お爺さん(以下、爺)お婆さん(以…

羽ぐくむ(『万葉集四』より)

昨日の歩数は18707歩でした。今日は日本古典文学大系7番の『万葉集四』です。 新羅(しらき)に遣はさえし使人ら別を悲しびて贈答し、また海路にして情(こころ)を慟(いた)み思を陳(の)ぶ。所に當りて誦する古歌をあわせたり 武庫(むこ)の浦の入江の…

うつほに行きたい(『宇津保物語一』より)

昨日の歩数は5310歩でした。今日は日本古典文学大系10番の『宇津保物語一』の「俊蔭」です。母と子が暮らしに困り、子に導かれて森の中の「うつほ(木の洞穴)」に至る場面です。意外に暮らしやすかったようで… 【食べていくために】朝(あした)に出で、夕…

IPPONN!(『連歌集』より)

昨日の歩数は13839歩でした。今日は「日本古典文学大系」39番の『連歌集』です。 突然ですが、私は大喜利が好きです。例えば写真を見せられて、「この人は、何を思っている?」と聞かれます。大喜利番組で(名前は言いませんが)、芸人さんが答え、スタジオ…

今の数学の学習法(『現代論理学』より)

安井邦夫『現代論理学』(世界思想社、1991年)をちらっと見ました。久しぶりに、数Ⅲの教科書を初めて開いた時の気分を思い出すことが出来ました。ちんぷんかんぷんでした。 定理があって、証明があって、例があって…の繰り返しが全体の体系を作っていって、…

道を求める意思(『三教指帰 性霊集』より)

一昨日の歩数は5171歩でした。今日は日本古典文学大系71番『三教指帰 性霊集』から「三教指帰」です。作者は空海です。 ぐうたら息子に、儒教の先生、道教の先生、最後に仏教の先生が教えを授けるという内容かと思います。作者は空海なので、結局仏教の人が…

ラブコメの源流ってどこなんだろう(『春色梅児誉美』より)

昨日の歩数は5664歩でした。今日は日本古典文学大系64番の『春色梅児誉美』です。江戸時代の人情本です。あらすじですが、丹次郎という男が実家を悪者に乗っ取られ、苦しい暮らしをしています。そこに、芸者お米という女の人が丹次郎と恋仲になり、貢ぎます…

言葉のタフさと、高校生の文法の学習(松尾聡『古文解釈のための国文法入門』より)

松尾聡『古文解釈のための国文法入門』(筑摩書房、2019年)に目を通しました。高校生に文法を教えるにはどうすればいいのでしょうか。ぶっちゃけ、私も文法を全然分かっていないのに… この本を見てつくづく感じたことは、言葉がどれだけタフに使われてきた…

音と思い出(『源氏物語四』より)

昨日の歩数は4517歩でした。今日は日本古典文学大系17番『源氏物語四』から「鈴虫」を読みます。源氏が、色々あって(本当に色々あって)出家した妻(元妻?だいぶ年下)の女三宮のもとを訪ねていきます。時は秋、八月十五夜の夕暮れです。 十五夜の月の、ま…

旅は道連れ、世は情け(でもスマホに聞く)(『東海道中膝栗毛』より)

昨日の歩数は7862歩でした。今日は日本古典文学大系62番の『東海道中膝栗毛』を読みます。江戸時代の本です。二人の人物が旅をしていきます。旅の出来事って、何故あんなに面白いのでしょう。主人公の一人弥次郎兵衛がかご(二人が駕籠を担いで人を運ぶもの…

雨が降ったら、帰る!(『芭蕉句集』より)

昨日の歩数は16945歩でした。今日は日本古典文学大系45番の『芭蕉句集』です。 雨降ければ草履の尻折てかへらん山桜 雨が降って来たので、「草履の尻を折って」帰ろう。雨で散ってしまう桜も折っていこう。というような意味かと思います。 草履の尻を折ると…

そわそわ雨の不思議(『古代歌謡集』より)

昨日の歩数は5303歩でした。今日は「日本古典文学大系」3番の『古代歌謡集』の「催馬楽」です。平安時代の歌謡です。 婦(いも)が門(かど) 夫(せな)が門(かど) 行き過ぎかねてや 我が行かば 肱笠(ひぢがさ)の 肱笠の 雨もや降(ふ)らなむ 郭公(し…

春はぼんやり(新古今和歌集』より)

昨日の歩数は7128歩でした。今日は日本古典文学大系28番の『新古今和歌集』を読みます。 いま桜さきぬと見えてうす曇り 春にかすめる世のけしき哉(春歌上・式子内親王) いつも春は忙しくて、ぼんやりとしてしまいます。記憶が断片的で、妙に覚えてることが…

生き生きとしたキャラクター(『風来山人集』より)

一昨日の歩数は4855歩でした。今日は日本古典文学大系55番の『風来山人集』を読みます。帯には「あまりに特異な才能ゆえに世に容れられず数奇な運命を辿った平賀源内の作品集!」とあります。その中から「根南志具佐」(根なし草)という、源内が書いた江戸…

文字にするこわさと、それが育むもの

昨日の歩数は8396歩でした。今日は日本古典文学大系96番の『近世随想集』から「ひとりね」を読みます。帯には「新しい文学史的視点じゃら選ばれた江戸時代の代表的随筆四篇!」とあります。 まず、作者の古典を読んだ跡を見て楽しく思えた個所があります。 …

「待ち遠しい」が待ち遠しい(『万葉集 四』より)

昨日の歩数は11107歩でした。今日は日本古典文学大系7番の『万葉集 四』です。『万葉集』は奈良時代の歌集です。その中で、ホトトギスを詠む歌が目につきました。 霍公鳥(ほととぎす)を詠む歌二首 橘は 常花(とこはな)にもが 霍公鳥 住むと來鳴(きな)…

遠のく奇跡と変わる現実(『日本書紀 下』より)

昨日の歩数は9668歩でした。今日は日本古典文学大系68番の『日本書紀 下』を読みます。 聖徳太子の説話が目に留まりました。『日本書紀』の推古天皇の条の中には、いくつも有名なエピソードが書いてあります。 皇后【聖徳太子の母】、懷姙開胎(みこあれま)…

国語のゲームブック(『プルーストとイカー読書は脳をどのように変えるのか?』より)

メアリアン・ウルフ『プルーストとイカー読書は脳をどのように変えるのか?』(小林淳子訳、インターシフト、2008年)という本の中で、「マタイ効果」という言葉が出てきました。 「読字学者キース・スタノヴィッチは、豊かな者はいっそう豊かになり、貧しい…

舗装された道の先(「蘭東事始」から)

昨日の歩数は18995歩でした。今日は日本古典文学大系95番の『戴恩記 折たく柴の記 蘭東事始』から「蘭東事始」を読みます。帯には「日本の古典の中で特異な光彩を放つ自伝文学の傑作!」とあります。「蘭東事始」は近世の杉田玄白の自伝です。 杉田玄白たち…

論理を越える「芸の力」(『謡曲集上』より)

昨日の歩数は16842歩でした。今日は「日本古典文学大系」42番の『謡曲集上』から狂言「末広がり」を読みます。帯には「簡素雄勁な演技による、古雅な笑いの舞台芸術!」とあります。狂言は中世の舞台芸術です。 時:中世 登場人物:果報者(主人)、太郎冠者…

因果ってなんだろう?(『日本霊異記』より)

昨日の歩数が4470歩だったので(ガラケーが教えてくれました)今日は岩波書店「日本古典文学大系」70番の『日本霊異記』です。帯には「古代の民衆の哀歓を生々と語る百十余の多彩な説話群!」とあります。平安初期の仏教説話集です。今日はその上巻を読みま…