飛行機よりもタケコプター?(J・G・フレイザー『初版 金枝篇 上』

フレイザーの『金枝篇』(19世紀末から20世紀の人類学の本)を10分だけ読みました。昔の人にとって、神の力を得たと考えられた人は「奇跡」を起こす人物であったと書かれていました。そしてその人が起こす(と考えられていたこと)が自然の法則と異なること…

スティーブ・ジョブズの言葉を知っていたから(『曽我物語』)

『曽我物語』巻七「千草の花見し事」を十分だけ読みました。時は鎌倉時代、兄弟が親の仇討ちにこれから向かうという場面です。その仇討ちが成功した場合にも、その罪で私たち兄弟は殺されてしまうだろう、ということを考えながら、庭に咲く植物を見て、それ…

籠の中の鳥(『源氏物語』紫上)

『源氏物語』「紫上」の一部を5分ほど読みました。紫の上は源氏物語のヒロインの一人です。篭に捕らえて飼っていた雀の子を別の子どもに逃がされて泣いているのが彼女の第一声でした。ざっくりと言って、女性の自立が今よりも難しかった上に、源氏に振り回…

「なぜ私はここにいるんでしょう」(村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』)

60歳を過ぎてから親の過去について振り返られておりました。この本を読んで、「なぜここに私がいるのだろう。」ということを考えました。もう少し詳しく言うと、「なぜ父と母は出会ったのだろう」ということです。 私の父から聞いた話によると、私のひいおじ…

静かに暮らしたい(土門拳『古寺を訪ねて 京・洛北から宇治へ』)

西芳寺(苔寺)に関わりある夢窓禅師について、植物に近い人間であったと紹介されていた。そしてその植物的な境地と関わりがあるのだとして、美しい苔の写真が載せられていた。自分を小さくして、その上に丸まって暮らしたいと思うくらいに美しかった。 植物…

感覚が違うわたしたち(九鬼周造『偶然性の問題』余滴)

視覚が不自由になった場合、私たちは眠りについたときに、どのような夢を見るのでしょうか。『偶然性の問題』には「聴覚的内容が多い」と書いてありました。 それはどのような感覚なのでしょうか。夢で見る事は、起きている間に見たことについての反復に基づ…

私を私たらしめているもの(九鬼周造『偶然性の問題』余滴)

私を構成するものの中で「私らしいもの」と「そうではないもの」をどのように分けたら良いのでしょうか。たとえば私は文章を書くのに、キングジム社のポメラを使っています。文章を書く機能だけ持たされたワープロです。これは私らしいのか、それともこれが…

雪について書き続けたらどうなるのだろう(森重敏著『日本文法通論』 からの余滴)

大学一年生の頃、雪について考え続けたときがありました。私の住んでいる地域にはあまり雪が降っていなかったのですが、その時には久しぶりに雪が降りました。当時はまだレインブーツを持って居ませんでしたので、「雪って意外と靴が濡れるんだなあ、まだ1時…

傷つけられたときの対策 

こんにちは。 人との関わりは大切ですが、うっかり関わると相手の言葉に傷つけられることがあります。(自分の言葉が相手を傷つけることがあります。)私は、思い出すたびにいらっとして、どうしようもない気分になる時があります。そういう時って、皆さんは…

アニメ『平家物語』が面白かった。(第1話の感想)

タイトルのまんまの感想です。アニメ『平家物語』が始まりました。楽しみでした。そして実際に第一話を見てみました。面白かったです。面白かった点を二点挙げます。 1声とアニメーション アニメーションを見て、声と絵がいいなあ、と思いました。当たり前…

言葉で相手を傷つけてしまったときに考えること

言霊には気をつけよう、そう思ったので書きます。特にその悪い側面についてです。 日常生活の中でふとした拍子に相手を言葉で傷つけてしまうことがあるかと思います。「余計なことを言ってしまった」と思うときです。その言葉がどう働くことになるか、そうい…

ガラケー生活のレビュー

こんにちは。今年ももうすぐ終わりです。 ガラケーの生活を一年送ってみましたので、その感想を書いてみようと思います。いい点悪い点、色々あるのですが今回はその中でも、良かった点を三点紹介します。 まず一点目として、「集中力が削がれにくい」点です…

成績の「悪い」方へ・「成績」を上げる第一歩の提案

私事ですが、最近若干仕事が報われる機会がありました。その報われた知らせが来た次の瞬間に、更に仕事の続きに取り掛かろうと体が動いて、驚いたという経験をしました。 よく世間では、「打ちのめされた時にすぐに立ち上がることが本当の強さ」であると言わ…

深層心理に本屋でアクセス。「本屋占い」のすすめ

自らの深層心理に到達する私なりの方法を発見しました。その方法を「本屋占い」と名付けましたので紹介します。その方法は以下のようになります。 ①本屋に行く。②棚をぼんやりと見ていく。③ぐるっと一周する。④印象に残った、本の背表紙のタイトルを思い出す…

難しい本を読む方法について最近考えたこと

久しぶりの更新になります。最近の気づきを一つ。 今、あなたが読書をしているとします。「なんのためにその本を読んでいるんですか?」と聞かれたら、どのように答えるでしょうか。「教養を深めるため」「試験に合格するため」「周りとの話題作りのため」「…

「立つ」「座る」という「スポーツ」

今週のお題「好きなスポーツ」 私は古典芸能(能楽)のサークルに所属していました。舞台の上に立ち、謡に合わせて舞うという活動内容です。その時に知ったのですが、立つこと、歩くことという日常の何気ない行動にも様々なコツがあるみたいです。(特に「美…

古典の研究について

今週のお題「自由研究」 私は大学で古典の研究をしています。といっても、まだまだ一歩、いや半歩を踏み出しかけているような状態です。(その状態の方が逆に疲れそうですが) 古典の研究に対して、「それは何の役に立つの?」と良く聞かれます。自分でも、…

筆の向くままのただの雑記

「休みの日という事で、昼からシャワーを浴びました。私の家の風呂には西向きの窓が付いていて(代わりに換気扇が無い)、午後には自然光が差し込みます。その状態でシャワーを浴びると、光に照らされた水玉が輪郭までくっきりと、虹色に光って、驚きました…

「鬼にならないか?(なりたくない)」(『宇治拾遺物語』より)

こんにちは。今日は岩波古典文学大系から『宇治拾遺物語』です。鎌倉期の説話集です。その中の、「日蔵上人吉野山にて鬼にあふ事」を読みます。 人に聞けない質問があります。「「人を呪わば穴二つ」という言葉がありますが、実際に穴が開くほど人を呪ったこ…

トトロじゃない!(『太平記』より)

こんにちは。今日は日本古典文学大系より『太平記』です。 突然ですが、宴会(今は難しいですが)には余興がつきものだと思います。その余興の中に、カラオケというものがあります。みんなで歌を歌うのは楽しいですが、相手との距離感が問題です。目上の人の…

「うつほ」が繋ぐ場所(『宇津保物語』より)

こんにちは。今日は『宇津保物語』です。日本古典文学大系で読みます。突然ですが、問題です。Q二人の貴公子が大変すばらしい琴を弾きました。どうなったでしょうか。考えていただけたでしょうか。『宇津保物語』の場合の正解はこちらです。 A天人をチラ見で…

自然に含まれているもの(『正法眼蔵』より)

こんにちは。今日は日本古典文学大系81番の『正法眼蔵 正法眼蔵隨聞記』から『正法眼蔵』です。(予測変換で出なくて悲しかった)道元が書いた、鎌倉時代の仏教書です。こういう言い方が合ってるかは分かりませんが、いわゆる「禅」ですね。 その中の「渓声…

歌謡曲にまつわる思い出(『梁塵秘抄』より)

おはようございます。今日は日本古典文学大系73番の『和漢朗詠集・梁塵秘抄』から『梁塵秘抄』です。中世の今様(遊女や白拍子も歌った七五調の歌謡)です。 君が愛せし綾い笠 落ちにけり落ちにけり、加茂川に河中に、それを求むと尋ぬとせし程に、明けにけ…

桜を見立てる(『近代秀歌』より)

小学館日本古典文学全集『歌論集』の「近代秀歌」からです。 山櫻咲き初めしよりひさかたの雲ゐに見ゆる滝の白糸 (金葉・巻一・五〇・源俊頼) 小学館の現代語訳には 山ざくらが咲きはじめてからは、それを遠くからながめると、滝の水を遠望すると白い糸が…

シンエヴァンゲリオンが観たい…(ただの雑記)

ただの雑記です。なぜ、日曜日に外出がしたくなるのだろうと思いました。もっと正確に言えば、何故新しい映画(シンエヴァンゲリオン)が観たくなるのだろうと思いました。 どうも、新しい刺激を求めるような性質があるのではないでしょうか。 生きるために…

春はあけぼの!(別にあけぼのでなくてもよい)(『枕草子』より)

昨日の歩数は9319歩でした。今日は日本古典文学大系19番の『枕草子 紫式部日記』より、『枕草子』です。 春はあけぼの【夜明け前】。やうやう【次第に】しろくなり行く、山ぎは【空の山に接するあたり】すこしあかりて【明るくなって】、むらさきだちたる雲…

詩の授業の構想②

前回の続きです。 詩を読むという行為には、驚きが含まれているのではないかと思います。物の見方と、その表現の仕方、或いは、物に対する感じ方や考え方に対する驚きです。他者のそれと向き合うことで自分との差分が意識されます。それがまた自分の意識に対…

詩の授業の構想①

和歌や詩を高校生にどう教えるかについて、少し疑問に思いました。今回は今後のために、覚書程度に書いてみます。 言葉が難しい場合、まず「何が書いてあるか読み取る」時間が必要かなあと今日思いました。次に、書いてあることから「何を感じるか」を文章化…

高校生に和歌を教えるために①立春の歌

春立つと いふ許(ばかり)にや みよしのの 山もかすみて けさは見ゆらむ 【訳】 春が立ったというだけで、吉野の山も霞んで、今日は見えるのだろうか。 【注釈案】 ・「いふ」は「言う」ですね。(文中のハ行「ふ」はワ行(ワイウエオ)の「う」に直します…

怪談への返し方に困ったときは(『近世随筆集』より)

おとといの歩数は12896歩でした。今日は日本古典文学大系96番の『近世随筆集』から『孔雀楼筆記』です。初めて開きましたが、思わず笑ってしまったので、冒頭の部分を載せます。随筆なので、どこから読んでも大丈夫(でしょう、多分。) 名山霊地ニハ、必ズ…