雨が降ったら、帰る!(『芭蕉句集』より)

昨日の歩数は16945歩でした。今日は日本古典文学大系45番の『芭蕉句集』です。


雨降ければ
草履の尻折てかへらん山桜


雨が降って来たので、「草履の尻を折って」帰ろう。雨で散ってしまう桜も折っていこう。というような意味かと思います。


草履の尻を折るというのはどういうことなんでしょう。場所は山桜とあるので山の中と分かります。山道を草履で歩いた経験がありませんが、水が跳ねるのでなるべく靴の底を高くして、濡れないように歩こうという事なのでしょうか。やってみたい気もしますが、そんな目に会いたくありません。


山の中で雨が降ったら帰る。それは当たり前のことのように思います。最近キャンプ動画で、真冬のソロキャンプをしているのを観ます。いいなあ、と思いますが、自分は寒い中で家から出たくないなあ、と思います。でも、焚火の揺らぎに照らされながらコーヒーを飲む姿にいいなあ、と思います。でも、温かい家から出たくもないのです。


いくら桜が咲いていたって、山の中で雨が降ったら帰ります。それはもう、草履の尻を折ってでも帰ります。もうむちゃくちゃです。でも、ついでに桜を少し折っていこう。放っておいても散ってしまうだろうし…自然には勝てませんが、その中での等身大な人の営みが書かれているような気がします。桜を持って帰るなんて風流な気もしますが、ずぶぬれで草履の尻を折りながら家に帰って来た人を見て、家の人はなんて思うのでしょうか。想像してみたら、少しおかしい気持ちになりました。